製造方法(型打ち)
押し出し機から押し出された石けん棒は、型打ち機(stamper)で最終的に、おなじみの石けんの姿になります。この工程も、金型で圧力をかけて、石けんを成形する事は今も変わりはありません。その工程のいくつかの種類を紹介します。
型打ち方式のいろいろ
石けんの型打ちについては、ハンドメイド的なものから、大量生産のためのシステムまで様々にあります。そのうちのいくつかを紹介します。
手動式型打ち機 | 足踏み式型打ち機 | ||
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主に、手作り石けん等の型打ちや刻印に使われるタイプで、量産には向きません。米国等の海外ではハンドメイド石けんが盛んで、このタイプの型打ち機が通販等で売られています。その他、ラボスケールの試作品の型打ちにも使われます。 | この型打ち機は、古典的な生産現場で良く使われていました、現在でも現役のところもあるかもしれません。押し出された石けんを、適当な長さに裁断し、その後、この型打ち機にかけます。両手が自由に使えるので。慣れてくれば、少量生産の工程として作業できます。ただし、両手が自由になる事が、アダとなり、この型打ち機で指の先を欠損する事故が多く発生していました。 |
この形式は、いわゆる「田中式」と業界で呼ばれている、型打ち機です。石けんの切断と型打ちを同時に、1台で行うため、マシンがコンパクトである利点があります。また、金型の雄・雌のみで石けんバーが切断・型打ちされるため、石けんの側面のプレス表面が綺麗に出ます。
一方、押し出し速度にシンクロしながら型打ちをさせるので、機構が複雑でメンテナンスにも、作業工程中の速度コントロール等にも気を使う必要があります。また、必ず型打ちロス(いわゆるヘタの部分)が出るので、それを再び上流工程に戻すラインが必要になります。型打ち能力的には、max70~80個/分程度です。金型を2個装着して速度を上げる場合もあります。
《上からの俯瞰図》
この形式は、いわゆる「ジョンス式」と呼ばれて業界で標準的な高速型打ちラインとして広く使われてきていました。押し出された石けんバーを、1個の量にあらかじめ小切りし、その後ロータリー式の型打ち機にかけ、型打ちします。一旦、押し出しバーとは縁が切れるため、型打ちラインは一定の速度で固定が可能になります。
この場合、田中式で出た「ヘタ」は出ないため、そのためのリサイクルラインは不要になります。型打ち部はロータリー式で、金型の数も様々増減でき、型打ち能力も、120個/分程度は十分可能です。
小切りした石けん辺を金型で押しつぶし伸ばしながら成形する事になるため、本来の断面と成形された断面と異なるため、よく見ると石けん表面にその形跡が見えます。
小切り機 | ロータリー式型打ち機 | ||
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最終製品の重さに小切りします。 | ロータリー式なので、構造は複雑になりメンテナンス等は気を使います。 |
この形式は、上の2つの方式のいいとこどりの様な方式で、まず金型に合わせて所定の長さに押し出し石けん棒をカット型した後、複数個数が繋がった固定金型に挿入し型打ちします。
この形式は、メカが比較的シンプルでメンテナンス等もやりやすく、型打ち部分は、押し出し棒からは一旦縁が切れており、作業管理も比較的楽になります。ただし、田中式と同様に「ヘタ」のリサイクルラインは必要になります。
またこの形式は金型で石けん棒を切断、型打ちする事になるので、田中式と同様な切り口のきれいな製品が得られるのも特徴です。このラインは構成がシンプルなので、デュアル構成にしたり、金型を3連~6連程度の複数構成にしたりして。能力も大きくできます。240個/分程度。
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