石鹸雑記帳

 

 

超簡単手作り石けん(超簡単・安全編)

本来の意味でのハンドメイド石鹸は危険な薬剤(苛性ソーダ)等を使わなくてはならず、その準備も実際の作業もなかなか大変です。そこでもっと簡単に手作り石鹸を楽しめる方法があるので紹介しておきます。
その方法とは、出来上がった石鹸生地を使って、その段階から以降の作業を楽しむ事です。 すなわちこのサイトでも説明している固形石鹸の製造方法を見ていただけたらよくわかると思いますが、


1) 石鹸素地を作る工程(油脂を苛性ソーダでけん化または脂肪酸を苛性ソーダで中和して製造)
              ↓
2) 石鹸素地に着色料、香料等を加えて石鹸生地にする工程
              ↓
3) 使用しやすく成型・包装する工程


面倒で危険なのは1)の石鹸素地を作る工程だけなので、それを省略して、2)、3)のみであれば、簡単で、安全に「手作り風」石鹸を楽しめます。

超簡単・安全な手作り石鹸の作り方


準備 (市販の石鹸素地を入手する)

市販品の例
ニードル状の形状
石鹸素地(パーム油、パーム核油)、EDTA、エチドロン酸
株式会社 生活の木
フレーク状の形状
石ケン素地(牛脂、ヤシ油)、トコフェロール
松山油脂株式会社
フレーク状の形状
石ケン素地(牛脂、ヤシ油)、トコフェロール
松山油脂株式会社

その他準備するもの


ポリ袋 :300x300mmくらいが目安。
ソープ型
エッセンシャルオイル
アロマオイル
等も必要に応じて準備します。

参考までに、石鹸の添加物の色々を紹介します。
(リンクはamazonへのもので、詳細情報、価格等が調べられます)
種別添加物
ハーブ系ラベンダーエキスローズマリーエキスノバラエキスローズヒップ油カミツレエキス甘草エキスシソエキス 等々
薬用植物系マロニエエキスイチョウ葉エキスアロエエキスヒマワリ油柿渋液オウゴンエキスクワエキスヨクイニンエキスチョウジ油ユーカリ油ティーツリー油カワラヨモギエキスオウバクエキスチンピ末
食品等緑茶抽出物コメ胚芽油オレンジオイルアンズ核油茶エキスハチミツにんじんパウダー
動物系ローヤルゼリーエキススクワランキトサンシルク粉末ホエイパウダー
油脂類ホホバ油ごま油オリーブ油
その他モロッコ溶岩クレイ温泉水海洋深層水炭粉末

さらに代表的なアロマオイルの一般に言われている効能もあげておきます。
名称効能
柑橘系
オレンジ・スイート 気分をリフレッシュ、安眠効果
グレープフルーツ 気持ちを前向きにする、高揚させる
ベルガモット 気持ちを落ち着かせる鎮静作用と高揚作用もある
シトロネラオイル 抗うつ効果、気持ちを高揚させる
フローラル系
カモミール・ジャーマン 心を落ち着かせる鎮静効果
カモミール・ローマン 心を落ち着かせる鎮静効果
ジャスミン リラックス効果、幸せ感
ラベンダー 乱れた自律神経を整える、安眠効果
ハーブ系
スペアミント さわやかな刺激で、心をリフレッシュさせる
ローズマリー・シネオール 気分を落ち着かせ、集中力を高める

そのときの気分にあわせて、色々な石鹸を使い分けるのも愉しいと思います。

作り方 (石鹸素地を使った作り方)


①素地100gを耐熱性の袋(ポリ袋)に入れ、熱めのお湯(50~60℃程度)15ccを振りかけます。
 この時にお好みに応じて、精油(エッセンシャルオイル)等も加えます
 ※お湯:大さじ1杯-> 15cc(15ml)が目安です。
 ※精油(エッセンシャルオイル)等:一滴->0.1gが目安です。(粘度、比重等により変わります)
  添加率は最初は0.1%(素地100gに0.1g:1滴)程度を目安に増減しましょう。


②袋ごとよくこねて石けんをまとめます。


③袋から出し、石けんを団子状にまとめ、粘土をこねるようによく練ります。


④成型します。(押し型等を使用すればきれいに仕上がります)


⑤風通しのよい日陰で10日間ほど乾燥させれば手づくり石けんのでき上がりです。





以下に記す事は、前項と全く同じ事を記してあります。
苛性ソーダ関連は無視してもかまいませんが、出来た石鹸の取り扱い等は重要な事なので、再掲載します。
添加したオイル等が石鹸のアルカリ分と反応して、変色、変臭等が起こる場合があります。 添加したものによっては、皮膚アレルギー等を引き起こす可能性もあります。
直接、皮膚に触れることになるので使用するにあたっては、くれぐれも慎重にお願いします。


バリエーションについて

手作り石けんを作ってみる動機を考えてみると

1.とにかく添加物の無い安全な石けんを使いたい
2.ケーキの様にいろいろな材料で、いろいろな色、形、匂いのものを作って楽しみたい
3.自宅ででてくる廃油がもったいないので有効利用したい
くらいが考えられますが、実際はこれらの動機が入り混ざった感じだろうと思います。特に2.の理由で作るならば、下記のようなバリエーションが考えられます。

・色(着色料(主に顔料)、食品(抹茶、ココア、食紅等)、等々による色付け)
・匂い(果汁、香料等々によるにおい付け)
・透明化、別に作った色つきの石けんチップを混ぜて外観に変化を出す
・藍流し的なもの(石けんを型に流し込んだ時に、着色料を入れ棒でかきまぜ、流れるような着色料での模様が出る様にしてそのまま固まらせる方法:枠練りの商業石けんではよく行われる手法です)

いずれにしても、ご自分で色々工夫して、いろんな石けんを作るのは、実用も兼ねて一石二鳥で、楽しい趣味にもなるかなと思います。
ただし、苛性ソーダ関連の安全面と下記に示すような注意事項をよく理解してもらえたらと思います。


出来た石けんについて

商業ベースの化粧石けんは、開発時も薬事法を始めとする数々の規制に準拠し、出荷後もいかに安定した品質を保ち続ける様にするかを最優先で、様々に検討され作られています。
それでも、「茶のしずく」石けんの小麦アレルギー発症※みたいな不幸なトラブルが発生する事があります。ましてや、手作り石けんでは基本的な石けんとしての出来の可否に加えて、添加物の危険性(たとえそれが食品であろうと)が思わぬところで出てくる可能性は常に意識しておくことが必要と思います。

基本的な心がけとして

1.通常の化粧せっけん(浴用・手洗い用等)に使用する場合は、食用油脂を使用する。
  廃油石けんはエコの観点からは良い事ですが、重合物、過酸化物等が多い可能性がありそれがそのまま石けんに残留しますので、直接皮膚の洗浄には使用しないほうが無難ですね。
ズック靴洗いとかエリ、ソデの部分洗い等、人の体以外の洗浄に活用しましょう。(理想を言えばメタケイ酸ソーダ等のアルカリ剤を数%入れれば洗浄力がさらにあがりかなり使えるのですが・・・)

2.出来た石けんは自分で使う
  出来た石けんが、使ってみてなかなか良かったら、他の人にもおすそわけしたいと思うかもしれませんがなにかトラブルが発生した時のことを考えると、自分で使い切るのが無難と思います。
紹介は写真を撮ってブログなどでするのが最良では・・・
老婆心ながら、出来た石けんを無許可で販売すると薬事法違反となり取締りの対象となってしまいます。(部屋のインテリアとしての雑貨として販売は出来るかもしれませんが、石けんとしての表記も使用も許されません)

3.添加物は慎重に
  ここ言う添加物とは香料であったりハーブであったり、果汁であったり、何とかエキスであったり一見体によさそうなものも含めてですが、薬事法にしばられた商業石けんと違い、添加量種類等完全にフリーハンド状態なので、単体では全く害の無いものが組み合わせると有害になったり、ある添加量を超えると思わぬ害が発生したり、石けんのアルカリと反応して有害なものに変質とか・・・、全く予期せぬことが起こってしまう可能性があります。
はじめは無添加を基本として、添加量も種類も控え目にしたほうが無難です。
まるでケーキみたいな、石けんは見た目も美しく楽しい気分にさせてくれますが、商業石けんみたいに、アレルギー、急性毒性、慢性毒性、生分解性等々の検討をするわけではないので添加物の取扱いは慎重にしたほうがと思います。

参考までに食品について表示義務のあるものは下記の通りです
アレルギーの特定原材料
特にアレルギーを起こしやすいとされる食品のうち、発症数、重篤度から考えて表示する必要が高いものとして表示が義務化された7品目
えび、 かに、 卵、 小麦、 そば、 落花生、 乳

アレルギーの特定原材料に準ずるもの
可能な限り表示することが推奨された18品目
あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
          
これらのものやその加工品を添加物として配合する場合は、慎重に添加量もまずは0.数%以下くらいにしておいたほうが無難です。

※「茶のしずく」石けんのアレルギー発症事件
2011年5月20日に「茶のしずく」石けんの販売元の化粧品会社「悠香」(本社・福岡県大野城市)は、小麦の加水分解物が入った製品でアレルギー症状が出たと言うことで製品を回収すると発表した。(対象商品は2005年~2010年で4600万個)
原因とされる物質は、保湿成分として添加されていた、小麦加水分解物の「グルパール19S」(片山化学工業研究所)だった。
たまたまその分子量が免疫反応を誘発しやすい大きさだったとされているが、発症が分かってからのメーカー、販売元、関係機関(厚生労働省)の対応があまりにもおそまつで多くの被害者が出た。一過性の症状のみならず体質自体が変わり小麦が摂取できない様な過酷な症状になり社会問題となった。