石鹸雑記帳


いろいろな石けん(固形石けん)

前章までは主に、固形それも入浴用のいわゆる化粧せっけんと言われるものについて述べてきましたが、それ以外にもいろんな種類の石けんがあります。ここでは、それらの石けんについての概要を説明します。

固形石けん

昔から、石けんといえばこの固形せっけんですが、大きく分けて、人体の洗浄に用いる化粧せっけんと、衣料等の洗浄に用いられる洗濯石けんがあります。製造方法としては、大量生産が出来る、機械練り方式と、少量生産に向いた枠練り方式があります。生産方式でその石鹸の種類が決まるわけではありませんが、入浴用の化粧石けんは機械練りで、洗濯用の固形石鹸は枠練りで作られる事が多いです。ただ、機械練りでも複合石けんで衣料や靴洗いもありますし、枠練り製法の浴用石けんもあります。

入浴・手洗い用固形石けん(化粧石けん):機械練り

(配合例:一般的な浴用石けん:無水状態の割合)
石けん98~99%程度パーム脂肪酸ベース
脂肪酸等0.5~1.0%程度過脂肪剤:保湿等
キレート剤0.02~0.05%程度安定剤:酸化防止等
香料0.2~0.5%程度
酸化チタン0.2~0.5%程度顔料
※最終製品水分 10~15%程度

(製造方法(機械練り)例)
1.石けんチップを混和ミキサーに入れ、さらに酸化チタン、香料、その他添加物を投入し混和する。
2.混和したものを、3軸混和ロールにかける。(クリアランス:0.2~0.4mm程度)
3.リファイナーにかけ均一化が進んだものを押し出し機により、棒状に押し出す。
4.押し出された棒状石けんを、一定の長さにカットし、型打ち機にかけ、所定の形の石けんにする。
5.自動包装機にかけ、製品にする。(シュリンク、紙包+箱等々)





洗濯用・浴用・手洗い用固形石けん:枠練り

固形洗濯石けんは、配合も製造方法もいろんなものがあり。性能重視で、アルカリビルダーはもちろんの事、蛍光剤等も配合される場合もあります。その一方、ほとんど石けんのみのもの(いわゆるマルセル石けんと呼ばれる)もあり洗濯用はもちろん浴用・手洗い用としての製品もありますます。


(配合例:アルカリビルダー無しの場合:無水状態の割合)

石けん99%以上程度パーム核脂肪酸、パーム脂肪酸等
香料0.2~0.5%程度無添加の場合も
※最終製品水分 15~20%程度

(製造方法例:古典的な枠練石けん 洗濯用、浴用とも基本的には同じです)




(配合例:アルカリビルダー入りの場合:無水状態の割合)

石けん70~80%程度オレイン脂肪酸リッチのもの
ケイ酸ソーダ1号20~30%程度アルカリビルダー:洗浄力補強
香料0.2~0.5%程度
※最終製品水分 20~30%程度

(製造方法例:押し出し装置で成形する方法)




透明石けん:機械練り・枠練り

石けん自体、元々半透明なものなので、それをさらにすすめて、見かけが良く商品性等を追求していったのが透明石けんです。製法的には、機械練りで作る、半透明タイプと、枠練りで作るより透明性が高いものがあります。
使用される、油脂としては、、ヒマシ油、オリーブ油等のC18f1(リノール酸)リッチのものに、硬さをある程度保持するため、パーム油、ヤシ油等を配合したものを用います。さらに石けんが出来てから、大量のアルコール、ショ糖、グリセリン等を加えて、石けんの結晶を大きくし透明度を増すように時間をかけて固化させます。(この透明石けんの特徴的な結晶系はωフェーズと呼ばれます)
透明石けんはどちらかと言うと、外観重視の石けんで見て楽しむもの、石けんとしての特性、皮膚に対する特性等々は一般に劣ります。

(機械練りでの半透明石けんの配合例:無水状態の割合)
カリ石けん含有石けん生地93~96%程度
グリセリン1.0~1.5%程度保湿、透明感
ショ糖0.2~0.5%程度保湿、透明感
脂肪酸0.2~0.5%程度パルミチン酸
精製水3~4%程度