ハンドメイド石けん(実践編)
ここでは、けん化反応時に加熱せず塩析もしない、いわゆるコールドプロセス手作り石けんの基本的な作り方を説明して見ます。先述した事を良く踏まえて、安全に十分気を付けながら楽しく作ってみましょう。
とりあえずは
1.作る石けんの油の量(種類等も)・苛性ソーダのデイスカウント率(通常:90~95%)・苛性ソーダの濃度(通常:30~35%)を決めておく
2.添加物の有無(完全無添加、香料、色素、ハーブ、固形物等々・・・)
3.型
等々を決めておきましょう。あらかじめ必要な材料を入手しておきます。2.添加物の有無(完全無添加、香料、色素、ハーブ、固形物等々・・・)
3.型
《ご注意:以下の作り方により生じたいかなるトラブルも責任は負えません》
基本的な作り方
1.苛性ソーダ水溶液を作る 保護メガネ・手袋・マスク 推奨場所:台所のシンク・屋外
※重要:周囲に子供さん、ペット等を近づかないようにしておく。思わぬ事故につながります。
① 紙コップやプラスチックの空き容器等に、はかりを使い苛性ソーダ(粒状、フレーク状)を量りこむ
② 苛性ソーダ調整用の容器に、はかりを使い水を量りこむ
③ 水を量りこんだ苛性ソーダ調整用の容器に、空き容器に量りこんだ苛性ソーダを静かに投入する
※必ず水にカセイソーダを入れる、苛性ソーダに水を入れると局部加熱等が起こり危険!!
④ 液が透明になるまで良くかき混ぜる
※発熱し、苛性ソーダ水溶液の微粒子ミストも出るので吸い込まないように十分注意
⑤ 液温度を確認し調整する(40~50度程度が適当)
② 苛性ソーダ調整用の容器に、はかりを使い水を量りこむ
③ 水を量りこんだ苛性ソーダ調整用の容器に、空き容器に量りこんだ苛性ソーダを静かに投入する
※必ず水にカセイソーダを入れる、苛性ソーダに水を入れると局部加熱等が起こり危険!!
④ 液が透明になるまで良くかき混ぜる
※発熱し、苛性ソーダ水溶液の微粒子ミストも出るので吸い込まないように十分注意
⑤ 液温度を確認し調整する(40~50度程度が適当)
2.油脂を量りこみ加温し40度程度にする
① 石けん反応用容器に、油脂を量りこむ(常温で個体の獣脂の場合あらかじめ加温融解しておく)
② 複数種類の油脂の場合は、その都度、風袋引き処理をして量りこむ
③ 植物性油脂の場合は40度程度、動物油(牛脂等)の場合は50度程度まで加温(料理用ガスコンロの弱火使用又は湯煎)
② 複数種類の油脂の場合は、その都度、風袋引き処理をして量りこむ
③ 植物性油脂の場合は40度程度、動物油(牛脂等)の場合は50度程度まで加温(料理用ガスコンロの弱火使用又は湯煎)
3.油脂に苛性ソーダを投入・かき混ぜる 保護メガネ・手袋
※投入する前にあらかじめ、苛性ソーダと油脂の温度の確認をする。
① 投入から20~30分は、休まずによくかき混ぜる
② その後保温しながら1時間おきに10分程度、2回程度かき混ぜる
(その日は保温して水分を逃さない状態で放置)
③ 翌日、同じく保温しながら良くかき混ぜる、10分程度かきまぜ状態を確認
④ かき混ぜた跡が分かる、いわゆる「トレース状態」になるまで、1時間おきにかきまぜる
② その後保温しながら1時間おきに10分程度、2回程度かき混ぜる
(その日は保温して水分を逃さない状態で放置)
③ 翌日、同じく保温しながら良くかき混ぜる、10分程度かきまぜ状態を確認
④ かき混ぜた跡が分かる、いわゆる「トレース状態」になるまで、1時間おきにかきまぜる
油脂+苛性ソーダ->油脂+微量の石けん(タネ石けん)+苛性ソーダ->自己乳化状態(トレース状態)
自己乳化状態までにしておかないと、アルカリが部分的に残ったりする場合があります。
4.トレース状態になったものを型に流し込む
① ヘラを使いながら石けんを型に流し込む(牛乳パックの縦・横はどちらでも問題ありません)
(縦使用はパックの加工が不要で簡単です、横の場合は横面と天面の加工が必要になります)
② 香料、その他の添加物を入れる場合はこのときに入れよくかき混ぜる
③ 発砲スチロールや布で覆って保温する -> 毎日、石けんの状態を確認(型抜きできるかどうか)
④ 型抜きは気温、油種等により出来る時間は異なる(数日~数週間)
(縦使用はパックの加工が不要で簡単です、横の場合は横面と天面の加工が必要になります)
② 香料、その他の添加物を入れる場合はこのときに入れよくかき混ぜる
③ 発砲スチロールや布で覆って保温する -> 毎日、石けんの状態を確認(型抜きできるかどうか)
④ 型抜きは気温、油種等により出来る時間は異なる(数日~数週間)
5.抜いたものを薄くカットし乾燥させる
① 型抜きしたものを、さらに薄くカット(2~3cm程度)し良く乾燥させる(1~2か月程度)
② 場合により、押し型等で装飾する
③ 硬さが適当と感じたら完成です
② 場合により、押し型等で装飾する
③ 硬さが適当と感じたら完成です
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バリエーションについて
手作り石けんを作ってみる動機を考えてみると1.とにかく添加物の無い安全な石けんを使いたい
2.ケーキの様にいろいろな材料で、いろいろな色、形、匂いのものを作って楽しみたい
3.自宅ででてくる廃油がもったいないので有効利用したい
くらいが考えられますが、実際はこれらの動機が入り混ざった感じだろうと思います。特に2.の理由で作るならば、下記のようなバリエーションが考えられます。
・色(着色料(主に顔料)、食品(抹茶、ココア、食紅等)、等々による色付け)
・匂い(果汁、香料等々によるにおい付け)
・透明化、別に作った色つきの石けんチップを混ぜて外観に変化を出す
・藍流し的なもの(石けんを型に流し込んだ時に、着色料を入れ棒でかきまぜ、流れるような着色料での模様が出る様にしてそのまま固まらせる方法:枠練りの商業石けんではよく行われる手法です)
いずれにしても、ご自分で色々工夫して、いろんな石けんを作るのは、実用も兼ねて一石二鳥で、楽しい趣味にもなるかなと思います。
ただし、苛性ソーダ関連の安全面と下記に示すような注意事項をよく理解してもらえたらと思います。
出来た石けんについて
商業ベースの化粧石けんは、開発時も薬事法を始めとする数々の規制に準拠し、出荷後もいかに安定した品質を保ち続ける様にするかを最優先で、様々に検討され作られています。それでも、「茶のしずく」石けんの小麦アレルギー発症※みたいな不幸なトラブルが発生する事があります。ましてや、手作り石けんでは基本的な石けんとしての出来の可否に加えて、添加物の危険性(たとえそれが食品であろうと)が思わぬところで出てくる可能性は常に意識しておくことが必要と思います。
基本的な心がけとして
1.通常の化粧せっけん(浴用・手洗い用等)に使用する場合は、食用油脂を使用する。
廃油石けんはエコの観点からは良い事ですが、重合物、過酸化物等が多い可能性がありそれがそのまま石けんに残留しますので、直接皮膚の洗浄には使用しないほうが無難ですね。
ズック靴洗いとかエリ、ソデの部分洗い等、人の体以外の洗浄に活用しましょう。(理想を言えばメタケイ酸ソーダ等のアルカリ剤を数%入れれば洗浄力がさらにあがりかなり使えるのですが・・・)
2.出来た石けんは自分で使う
出来た石けんが、使ってみてなかなか良かったら、他の人にもおすそわけしたいと思うかもしれませんがなにかトラブルが発生した時のことを考えると、自分で使い切るのが無難と思います。
紹介は写真を撮ってブログなどでするのが最良では・・・
老婆心ながら、出来た石けんを無許可で販売すると薬事法違反となり取締りの対象となってしまいます。(部屋のインテリアとしての雑貨として販売は出来るかもしれませんが、石けんとしての表記も使用も許されません)
3.添加物は慎重に
ここ言う添加物とは香料であったりハーブであったり、果汁であったり、何とかエキスであったり一見体によさそうなものも含めてですが、薬事法にしばられた商業石けんと違い、添加量種類等完全にフリーハンド状態なので、単体では全く害の無いものが組み合わせると有害になったり、ある添加量を超えると思わぬ害が発生したり、石けんのアルカリと反応して有害なものに変質とか・・・、全く予期せぬことが起こってしまう可能性があります。
はじめは無添加を基本として、添加量も種類も控え目にしたほうが無難です。
まるでケーキみたいな、石けんは見た目も美しく楽しい気分にさせてくれますが、商業石けんみたいに、アレルギー、急性毒性、慢性毒性、生分解性等々の検討をするわけではないので添加物の取扱いは慎重にしたほうがと思います。
参考までに食品について表示義務のあるものは下記の通りです
アレルギーの特定原材料
特にアレルギーを起こしやすいとされる食品のうち、発症数、重篤度から考えて表示する必要が高いものとして表示が義務化された7品目
えび、 かに、 卵、 小麦、 そば、 落花生、 乳
アレルギーの特定原材料に準ずるもの
可能な限り表示することが推奨された18品目
あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
これらのものやその加工品を添加物として配合する場合は、慎重に添加量もまずは0.数%以下くらいにしておいたほうが無難です。
※「茶のしずく」石けんのアレルギー発症事件
原因とされる物質は、保湿成分として添加されていた、小麦加水分解物の「グルパール19S」(片山化学工業研究所)だった。
たまたまその分子量が免疫反応を誘発しやすい大きさだったとされているが、発症が分かってからのメーカー、販売元、関係機関(厚生労働省)の対応があまりにもおそまつで多くの被害者が出た。一過性の症状のみならず体質自体が変わり小麦が摂取できない様な過酷な症状になり社会問題となった。