石鹸雑記帳


はじめに

せっけんに関しては、WEB上でも様々な情報が存在していて、その概要はよく理解できそうな感じはしていますが、どうも特定のメーカー、販売者等々からの発信も多く、なんとなくかたよりを感じたりする場合も見られます。そこで、出来るだけ基本に立ち返り、なおかつある程度突っ込んで、その情報をまとめてみようと試みることにしました。特に製造方法に関しては、ある程度詳しく説明してみようと思います。あくまで、個人の理解の範囲なので内容的に勘違い等あるかもしれませんがそのあたりはあらかじめご理解をお願いします。

せっけんの発祥

せっけんの歴史的な経緯は、ここでは詳しく説明しませんが、定説では、羊等の肉をたき火で焼いているときに、肉からしたたった油が、その下にあったたき火の灰と混じり合い、偶然にせっけんが出来たと言う事です。(紀元前2800年頃の事 場所はバビロニア(現在のイラク バグダット近郊)) 灰の成分の中の炭酸カリウム(K2CO3)と水と動物の油(トリグリセライド)が存在してなおかつたき火の熱があれば、理論的には石鹸(カリ石鹸)が出来る事は推測できるんですが、灰と水と油の混合物なので、黒っぽいドロっとしたまあ原始的なものだったことが想像されます。それでも当時の人々は、重宝したに違いありません。

せっけんの伝来

古代バビロニアで生まれたせっけんは、古代の中東地域から当時のアラビア人により、イタリアやスペインに伝わり、そこからヨーロッパ中に広まり、日本には戦国時代(16世紀頃)にポルトガル船から伝わったとされています。

■古文書の記録では■
Pliny(紀元23-79)
SAPO 山羊脂+木灰(石灰)食塩添加にて硬くなる ガリヤ人ゲルマン人が使用
Galenus(紀元2世紀頃)
ゲルマン人の石けん ガリア人の石けんの記録

8世紀末      アラビア人がヨーロッパ(スペイン、イタリア)にせっけんを伝承
9世紀頃      マルセイユ(フランス)がせっけんの物流・生産の拠点に
12~13世紀    マルセイユ周辺にてソーダ石鹸が開発->俗に言う「マルセル石けん」
13~14世紀頃   Castile 石けん(スペイン)等が盛んに
15世紀頃     イタリア(Venezia、Savona)が振興
17世紀頃     マルセイユ、サポナ、ジェノバが生産地として隆盛

工業化への道筋

せっけんの発達の歴史は、アルカリ剤の歴史ともいえます。原始的な、黒っぽくてにおいも良くない灰と油の混合物から、洗練された色とりどりでいいにおいの現代の石けんまで、それに関わる人々のたゆまぬ努力がありました。